
「勇者ヨシヒコ」シリーズ、「孤独のグルメ」シリーズをはじめ、テレビ東京のドラマといえば、その独特の世界観で注目を集めることが多い。なかでも、性に奔放な女性を主人公にした「来世ではちゃんとします」シリーズなど、現代女性の悩みに寄り添う作品で多くのファンを獲得してきたのが、同社ドラマビジネス部の祖父江里奈プロデューサー(40)だ。テレビ離れの逆風に屈せず、個性豊かなヒット作を生み出し続ける“テレ東スピリット”。その正体について、祖父江さんに聞いた。
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――ドラマ作りにおいて、テレビ東京ならではの特徴や強みはありますか?
テレ東は当初、ドラマ制作を完全外注していたこともあり、今でもドラマの部署は規模が小さいんです。他局には助監督からたたき上げで監督やプロデューサーになるキャリアパスがありますが、うちには新人を一から育てられるような環境はない。
そこで、スポーツや報道、営業などほかの分野の現場である程度経験を積んでから、ドラマ室に配属されることが多いです。私自身も入社後10年間は、バラエティー番組を担当していました。プロデューサーごとにバックグラウンドがバラバラなので、それがテレ東ドラマの個性につながっている面はあると思います。
――テレ東のドラマは「とがっている」とよく評されます。
とがっているイメージを世間に植え付けたのは、金曜深夜の「ドラマ24」枠で2010年代に放送していた「モテキ」や「勇者ヨシヒコ」シリーズだと思います。エロやサブカル要素の強い深夜ドラマというのは、当時は斬新でした。でも今では、大阪の毎日放送や読売テレビなどの準キー局を中心に、次々と制作されていて、珍しくもなんともない。今の時代のテレ東らしさが何なのかというのは、日々自問自答を繰り返しています。