
恋愛や性の話を若干遠い目で見てしまう
私が去年、「夫の家庭を壊すまで」というドラマを作ったときは、不倫を描きながらも、別の見どころもある作品にしようと思いました。具体的には、登場人物が魅力的に見えるように意識しつつ、突拍子もない設定やシーンでもしっかりと感情を描く工夫をしたり。放送後の視聴者インタビュー調査では、不倫ドラマが好きだからというより、主演の松本まりかさんをはじめとする俳優陣の凄絶な演技バトルを目当てに見てくださった方が多かったです。
――祖父江さんはこれから、どんなドラマを作っていきたいですか?
実はここ1、2年、ずっと悩み続けています。
私のドラマプロデューサーとしての初期衝動は、世の女性たちに「私も同じだ」と共感してもらえる作品を作ることでした。「来世ではちゃんとします」「だから私はメイクする」「38歳バツイチ独身女がマッチングアプリをやってみた結果日記」――。どの作品にも「つらいのはあなただけではないよ」というメッセージを込めています。

今でも半径5メートル以内の話でドラマを作りたいという思いはある一方、年を取ったことによる変化はあります。40歳にもなると、親の介護や自分の老後についての悩みがいよいよ視野に入ってくるわけです。最近は、恋愛や性の話を若干遠い目で見てしまう自分がいて……(笑)。半径5メートルの範囲がちょっとずつ、ずれていくわけです。