
「パブリック・プレッシャー」(1980年)というライブアルバムがあるんですけど、事情があったらしく、そこには香津美さんのギターが入ってなくて。その代わりに教授が弾いたシンセが入ってるんですけど、今回リリースされる音源にはその両方が入っているんです。それは今じゃないと聴けなかったので。これは細野さんも言ってたんですけどGOH HOTODAさん(ミックス、マスタリングを担当した世界的エンジニア)の仕事もすごいです。
――細野さんが監修しているのもポイントですよね。
そうですね。当時のライブ音源をしっかり聴いたのは初めてだったようなんですけど、(高橋幸宏、坂本龍一が逝去したことで)「残されたから、責任持ってちゃんとやらないと」と仰って。「こんなにいいバンドだったんだなって思った」と言ってらっしゃいましたね。
「影響を受けた人は多いですけど、絶対マネできないのがYMO」と語ったハマ・オカモト。星野源、山口一郎(サカナクション)、小室哲哉、槇原敬之などYMOの音楽に刺激を受けたことを公言しているアーティストは数多く、そのDNAはさらに若い世代にも受け継がれている。細野晴臣、高橋幸宏、坂本龍一が生み出した黄色い魔法はこの先も世界中の人々を魅了し続けることになるだろう。
(取材・文/森朋之)
ハマ・オカモト/バンド・OKAMOTO'Sのベーシスト。1991年3月12日生まれ、東京都出身。2013年6月には米国フェンダー社と日本人ベーシストとして初のエンドースメント契約を結んでいる。音楽活動だけではなく、音楽・トーク番組『ハマスカ放送部』(テレビ朝日)、『沼にハマってきいてみた』(NHK)などテレビ番組のMCをつとめるなど多岐にわたって活躍している。
YMO(YELLOW MAGIC ORCHESTRA)/1978年、細野晴臣、坂本龍一、高橋幸宏の3人で結成。同年アルバム『YELLOW MAGIC ORCHESTRA』でアルファレコード(当時の名称)よりデビュー。翌1979年には音源をリミックスして海外発売を果たし、ロサンゼルスのグリーク・シアターにて初の海外公演。さらに英国、フランス、米国を巡る “TRANS ATLANTIC TOUR”を敢行。このツアーの成功を受けて、日本でも社会現象的なテクノポップ・ブームを巻き起こす。1980年にはさらにスケールアップした海外ツアー(7か国15公演)を行う。1983年「散開」。1993年「再生」して東京ドームでライブを行った後、活動休止。その後も折に触れて再集結していたが、2023年に高橋幸宏と坂本龍一が長逝。しかし彼らの音楽は今も世界に広がり、フォロワーが増え続けている。世界進出の歴史的記録、世界が熱狂したライブのBOX SET「YMO 1979 TRANS ATLANTIC TOUR LIVE ANTHOLOGY」が4月30日に発売された。