
「ぷっくりと愛らしいエナガを」
そうした華子さまのご希望で、細かな刺繍をほどこしてエナガや小鳥ににぷっくりと厚みと丸みをだした。紅葉の枝にとまったり、花をついばむ小鳥が草花の間で生き生きとさえずっている。見る人が思わず笑顔になるような一枚だ。華子さまは、この「エナガ」と小鳥の訪問着もお気に入りのひとつのようで、公務などの機会でもたびたびお召しだ。
鳥の図柄といえば、2005年の黒田慶樹さんと清子さん夫妻の結婚披露宴に出席した華子さまがお召しになった着物も素晴らしかった、とほほ笑むのは国見さん。
めいの大切な日の装いとして華子さまが選んだのは、「おしどり」が描き出された柿茶色の訪問着。仲睦まじく月日を過ごされてほしいという、祝意と愛情が伝わってくるような装いだ。
小鳥がお好きな華子さま。15年の春の園遊会では、羽ばたくカワセミの訪問着をお召しだった。紅葉や菊など雲取り文様で配された四季の花々の間をカワセミが優雅に舞う写実的な一枚だ。

2005年、常陸宮さまが70歳の古希を迎えた際に公開された写真では、華子さまがお召しであったのは明るい柿茶色の訪問着。
吉祥模様の松と訪問着の裾には、どこまでも広がる波の文様に未来まで続く平穏を願うといわれる吉祥文様の青海波(せいがいは)を描いた優雅な一枚だ。
松の葉や青海波には、繊細な手仕事で刺繍がほどこされている。
このとき華子さま選んだのは、おしどりの織り込まれた帯。夫婦仲睦まじくお過ごしになりたいという願いが伝わってくるようだ。
宮邸の庭で野鳥の観察を楽しまれるご夫妻らしい、粋な装いだ。