ドS男を演じる小池徹平さん(右)と、主演の伊藤淳史さん(左)

 その「奪い愛、夏」というドラマは、サスペンス風なのに変なことがたくさん起きる。セリフもくだらないんだけど、それを役者が真顔で言う、というのがおもしろい世界観でもあった。小池君は、最後まで撮影してあらためて振り返ってみたら、「あのセリフは絶対言うべきだった」というのです。一行のセリフ。僕は全然問題なかったのですが、小池君は一人反省して「本当にすいません」と。何度も謝ってきた。

 そして今回。小池君にオファーするときに悩みました。結婚もして子供もいる。子供もまだ小さいし。だけどオファーしたら引き受けてくれた。

 しかも、ベッドシーンでのありえないセリフも完璧に演じてくれていた。小池君は現場で僕の台本を読み込み、言っていたそうです。「おさむさんのセリフには全部意味があるから」と。くだらなく見えるけど意味があると。

 ドSな男を振り切って完璧に演じました。3話のベッドシーン。小池君演じるマサトが綾香に聞きます。「クイック オア スロウ?」と。綾香が「クイック」というので、マサトの体はクイックになる。

 小池君から聞いたのですが、現場で監督から「小池君が思うクイックのスピードでやってくれますか?」と言われ、小池君なりのクイックをやってみたら、監督に「ちょっと早い」と言われてめちゃくちゃ恥ずかしかったと。

 そんなことをおもしろく話せる小池君。

 最初はアイドル的存在だったけど、本当に色気があって、狂気の役も演じられるいい役者さんになったなー。

 1話が放送された後に、小池君が僕にLINEをくれました。そこには「僕はおさむさんが笑ってくれればそれでおっけーです」と。

 泣かすな。小池徹平。

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