ミャクミャクとの記念撮影に応じる石破首相

「万博が赤字なら政局になりかねない」

 維新の公約は「身を切る改革」だけに、冒頭のA氏は、「万博の赤字は公約違反になる」と苦い表情だ。

「維新は選挙で万博の開催と成功を公約のように掲げてきたが、初日に限れば万博は大失敗でした。維新内部でも、大阪選出議員と大阪以外の議員との間では、万博について温度差がかなりある。『万博に失敗すれば大阪のせいだ』という議員もいる。維新の支持は失速しているが、万博が盛り上がらないと、さらにダメになりそうな空気がある」(A氏)

 自民党衆院議員のB氏は、4月12日にあった開会式のため万博会場を訪れ、こんな感想をもったという。

「正直、魅力があまりないなと思った。リングの展望はなかなかだが、これが万博の目玉かという感じだ。日本館も『何、これ?』『しょぼいな』という議員の声が多く聞かれた。目標の2820万人はとうてい無理だろうし、地下鉄駅が一つだけで、1日に50万人、100万人といった来場は無理でしょう。当然、赤字になった時のことは気になった。国として誘致しているが、これで赤字が出たとき国で負担するとなれば、ちょっと国民の理解は得られないなと。維新さん、大阪府などに頑張ってもらうしかない」

 開会式には石破茂首相も訪れ、公式キャラクター「ミャクミャク」と握手し、笑顔で記念撮影にも応じていた。B氏はこう話す。

「石破首相も万博が赤字なら、別の政局になりかねない。いまは少数与党なので、新年度予算案も、維新の協力でなんとか可決した。赤字になって維新への批判が高まり、党内で政局となって分裂するようなことになれば、与党としても対応が大変だ。赤字になったら国としても知らん顔はできない。入場者は少なくてもいいから、チケットが売れて、万博が黒字になってほしいと祈るような気持ちですよ」

(編集部・今西憲之)

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