淡々と話していたリリーさんが、希林さんの話になると、笑顔になった。そうして「分別ついたら億劫になるのは、結婚も映画監督も同じようなもんじゃないかと思うんですよ」と続けた。
「前は監督がしたいと思っていましたけど、その気持ちは薄くなっていっています。自分で脚本めいたものを書いているときも、それを監督することが全てじゃないと思うし、まずいい作品に関わりたい。今の若い監督たちは、世界的に見ても、僕らのジェネレーションにないセンスを持っているし、照明さんもiPadでひとつひとつの照明を調整したりしているんです。若いスタッフが、技術的な進化に対応して、道具をボンボン使いこなしているのを見ると、先輩よりも追いつけないのが後輩なんじゃないのかな、なんて思います」
(菊地陽子 構成/長沢明)
※週刊朝日 2021年9月3日号より抜粋
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