「お葬式の場が明るくなるような仕掛けができないだろうか」。会社員ながら、休日にハンドルネームで活動する著者が企てたのは、本書の中心となる「ガーナ棺桶紀行」だ。
西アフリカの工房に、将来自分が入りたい「装飾棺桶」を発注。オーダーメイドで魚や動物、飛行機など希望に応じて、形は多様、色も鮮やか。現地では富裕層に限られるそうだが、「生前葬」と題してネットで資金を集め、いざ工房見学の旅へ。
著者が注文したのは「ポテトチップス」型で、ボディには協賛スポンサーのロゴも。完成時に工房の一族総出の宴が催され、白と黒の「お弔い」イメージが吹き飛んでしまう。さて、どのようにして持ち帰るか。二つ隣の国ベナンへも足を延ばし、「呪術」で知られるヴードゥー発祥の地で王様と会う話も面白い。
※週刊朝日 2016年12月2日号