差がついたZoomとSkype。画像はイメージ(写真:ロイター/アフロ)

Zoomに比べて煩雑な手順が必要

「スマホが広まり、モバイルでの使い勝手が何より求められる時代になるなかで、Skypeはパソコン用の設計から抜け出せませんでした。その時代に大勢のユーザーが流れてしまったのが最初の失敗だったと思います」

 その後、20年からの新型コロナウイルスの流行でビデオ通話によるオンライン会議が急速に社会の中に広まっていく。再びSkypeの時代が来るかと思われたものの、そうはならなかった。

 23年にクリエイティブバンクが運営する「デジタル化の窓口」がまとめた「アフターコロナ時代のWEB会議システム」に関する調査によると、所属する組織で主に利用されているWEB会議システムはZoomが41.7%で首位。Microsoft Teamsが34.7%、Google Meetが9.3%で続き、Skypeは3.6%にとどまっている。高橋さんは言う。

「例えばZoomは、URLを共有すればログイン不要、ワンクリックで参加できるなど新しい相手ともストレスなくミーティングを始められる手軽さを売りにシェアを広げました。一方、Skypeはまずアカウントにログインし、相手のアカウントとつながって……という煩雑な手順が必要だと思われたことが影響したと推測されます」

 実際にはSkypeにもアカウント不要で会議に参加できる機能があるものの、多くの人が抱くかつてのイメージは覆せなかった。Zoomが爆発的に広まり、TeamsやGoogle Meetが追随するなか、Skypeは選択肢に上らなかった。私自身、20年以降数百回のオンライン取材、オンライン会議に参加したが、Skypeを利用したことは一度もないし、使いたいというリクエストを受けたこともない。先の3.6%というシェアですら、実感からはかなり多く感じるほどだ。高橋さんは続ける。

「従来使っていた組織で、そのまま使い続けたケースが多いのではないでしょうか。私も仕事柄ビデオ通話は毎日のようにしますが、ここ9年ほどSkypeの利用を求められたことは一度もありません。数年前にはアプリも消してしまいました」

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