成年にあたり、記者会見する秋篠宮家の長男悠仁さま=3月3日、東京・赤坂御用地内の赤坂東邸
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 天皇陛下皇族方の誕生日などにあわせて開かれる記者会見は、生の言葉を聞き、考えを知ることができる重要な機会。そんな会見の「あのとき」を振り返る(この記事は「AERA dot.」に2025年3月9日に掲載した記事の再配信です。年齢や肩書などは当時のもの)。

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 秋篠宮家の長男で、皇位継承順位第2位の悠仁さまが3月3日、成年にあたって初めての記者会見に臨んだ。約30分間の会見中、メモなどを見ることもなく、落ち着いた口調で記者とやり取りした悠仁さま。そんな姿に皇位継承者としての資質を見たと、専門家は言う。
 

「成年皇族としての自覚を持ち、皇室の一員としての役割をしっかりと果たしていきたいと思っております」

 記者たちを前に約30分間。悠仁さまは手元にメモを置くこともなく、目の前に並ぶ記者たちにゆっくりと視線を向けながら、はっきりとした口調で自身の成長を見守ってくれた人たちへの感謝の言葉などを述べた。

 その落ち着いた様子に、皇位継承者としての成長を感じた人も少なくなかったのではと、宮内庁職員を長く務めた皇室解説者の山下晋司さんは話す。

「ゆっくり、ひと言ひと言はっきりと話されていましたので、非常に聞き取りやすかったですし、全体を見渡す所作も公式な記者会見の場にふさわしいものでした。ご回答の内容自体は無難なもので、『おことば』のような感じでしたが、将来の天皇というお立場を鑑みればやむを得なかったと思います」
 

 昭和の時代に浩宮さま(天皇陛下)の「臨時家庭教師」を務めた比較文化史研究者の故・芳賀徹東京大名誉教授は、かつて筆者にこんな話をしてくれたことがある。

 皇太子時代の陛下は、都内で開かれた水に関する国際的な学会で、英語で約30分間の講演をしたことがある。その場にいた芳賀さんが驚いたのは、語学力ではなかった。

「感心したのは、特定の人間と目を合わせることはしないが、会場に居合わせた人びとがみんな『皇太子さま(天皇陛下)は、私を見ている』と感激するような目線、振る舞いを終始徹底されていたことです」

 これが帝王学なのかと実感したと、芳賀さんは振り返っていた。

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