
その瞬間は、寛仁さまの意図を測りかねたものの、その同級生はのちにこう振り返った。
「要は、殿下に外の世界を見せて差し上げろ、ということでした」
このとき、皇太子となっていた皇位継承者である陛下の起床時間、食事の内容、会釈や進講の相手など、日常生活のすべてが周囲の決定で進む。
「土地の歴史など、さまざまな知識をお持ちでしょう。だが、そんな敷かれたレールの外の事象に触れる機会をつくることが、友人である僕たちの役目だと思いました」
ごくたまにではあったが、同級生らは機会を見つけては陛下を食事に誘っていたという。

「甥」を見守る天皇陛下の言葉
一方で、少子高齢化が進む皇室では、悠仁さまを見守り、何かと気にかけることのできる世代の皇族は、限られてきている。
そうしたなかで、かつて寛仁さまが浩宮時代や皇太子時代の陛下を見守っていたように、いまは陛下が将来の皇位継承者である悠仁さまを見守っているようにもとれるのが、今年2月の天皇陛下65歳の誕生日に際した会見だった。
皇位継承者であり、成年を迎えた悠仁さまの成長について記者に質問された陛下は、「甥」をあたたかく見守る言葉を述べられている。
「小さい時から甥として成長を見守ってきましたが、近頃は、都内や地方への訪問であったり、外国の方々との交流であったり、皇室の一員としての務めを果たしてくれていることを頼もしく思います」
そして、ご自身の大学生活を振り返りながら、さまざまな背景や関心を持った先生方や友人たちから多くを学んだことや、高校時代までの友達も大切であるとともに、大学で知り合った人々との交流も続けていると、4月から始まる悠仁さまの大学生活に向けてエールを送った。
悠仁さまが成年の会見で何を語るのか、注目が集まっている。
(AERA dot.編集部・永井貴子)