「Aぇ! group LIVE TOUR 2025 D.N.A」から。末澤誠也の圧倒的なボーカルと、それぞれの楽器ソロが音で魅了してくる、重厚感と疾走感あふれるハードロックナンバー「咆哮」(写真:品田裕美)
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「俺たちと、最高に楽しい音楽作ってくれるか?」

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 ファーストアルバムを引っ提げ、初めてすべてオリジナル曲で挑むAぇ! groupのアリーナツアー「Aぇ! group LIVE TOUR 2025 D.N.A」。楽曲のみならず、歌う声にも奏でる音楽にも幅と厚みが増し、粋な演出とダンス、関西ならではの笑いやトークで心を掴みにくる。だが何よりも圧倒されたのは、観客と「共に」という強い思いだった。AERA2025年4月14日号より。

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「Shout Now!」

 固く拳を握りしめた腕を震わせ、まさに絞り出すかのような全力の叫びに応じて、観客の声が横浜アリーナを揺らした。正確な、だが激しく情熱的なビートを刻むドラムに重なる、流麗なメロディーを奏でるキーボードソロ、見事な指さばきとビブラートで魅了するギターソロ、跳ねるような重低音が心臓に響くベースソロ。厚みのある演奏に、ハイトーンからシャウトまで芯の太い圧倒的なボーカルが刺さるように、場を支配する。

 たしかな技術と高い熱量でハードロック好きをも高揚感に包む「咆哮」、そのステージに立つのはAぇ! groupの5人。昨年5月にデビューしたばかりの“アイドル”とは信じがたいと思わしめるパフォーマンスだ。

 このグループの魅力は、バンドにとどまらないところが恐ろしい。特筆すべきはやはり、振り幅の広さだろう。ファーストアルバム「D.N.A」を引っ提げての今回のライブツアーは、すべて自分たちのオリジナル曲だけで構成するのは初とあって、その特性がより明確に浮き彫りになった。

 楽曲のみならず声の表情や振り付け、笑顔までキュートでキラキラなアイドル曲「Colorful Days」や「Wonderful!!」で会場を夢中にさせたかと思えば、一転、色気あふれる「Party-Aholic」で悲鳴をさらう。「ああ面倒」という気だるげな草間リチャード敬太の歌声とダンスで始まる大人っぽいシティーポップ「常夜灯」や、歌詞に関西の遺伝子を組み込んだ洒落たダンスナンバー「AKAN」で魅せ、バラード「Never End」ではしっとりと、佐野晶哉の超ロングトーンで酔わせる。

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