ヘリアータイプの光学系を現在の技術で
コシナ・フォクトレンダーシリーズのVM(Mマウント互換)レンズでは久しぶりの新製品となる。外観デザインに凝ったVintage Lineとして登場する。
基本光学系は1900年に特許を取得したもの。また、2001年に記念モデルのベッサT101用に用意されたHELIAR50mm F3.5のそれを踏襲しているが、このときはLマウント互換の沈胴式で最短撮影距離は1メートルだったのに対し、今回はVMマウント化と同時にデザインは完全に見直され、最短撮影距離も0.7メートルに短縮。またデジタルカメラにあわせコーティングや内面反射の改良がはかられた。
「小口径レンズ」という呼び名はないが、最新の硝材やコーティングを使用し、F値に無理のない余裕ある高性能レンズという意味ではほかになく、伝統のヘリアータイプの独自の存在だ。3群5枚構成のトリプレットの発展型だが、驚くほど描写性能が高い。
デザイン
マウンテンエルマーの先端部に似た黒色の鏡胴にヘリアーの構成図がエングレーブされ(ちょうど無限遠で真上にくる)、フード、フードキャップも金属製とコシナの主張にブレがない
使用感・操作感
見た目より使いやすいレンズだ。鏡胴全体が回転するので絞りを先に設定したのちにフォーカスを行う。コシナ純正のVM-Eクローズフォーカスアダプターでα7系カメラに装着してもいいだろう
描写性
前製品も描写は定評があったが、さらにデジタルに合わせブラッシュアップされた。開放からコントラストはすでに頂点にあるように感じ、歪曲収差の補正も見事だ
◆赤城耕一
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●焦点距離・F値:50ミリ・F3.5●レンズ構成:3群5枚●最短撮影距離:0.7メートル●画角:46●フィルター径:φ27ミリ●大きさ・重さ:約52×43.2ミリ、209グラム●価格:税別6万5000円●URL:http://www.sony.co.jp