会見を開かぬままの検察庁、被害者への謝罪もなし

 初公判では、被告は罪を認め、「争わない」と言ったので、このまま裁判が順調に進めば、事件を過去のものにでき、少しでも前向きに生きていけると思っていた矢先、被告が、「否認」に転じたので、絶句しました。

──「被害者とともに泣く」のが検察ではないでしょうか。

 本来はそうあるべきですし、私自身、「被害者に寄り添い犯罪者を適切に処罰することで、被害者の回復に力添えしたい」という思いで検事になり、全身全霊を傾けて仕事を続けてきました。しかし、実際に被害者になってみると、私の事件や人事を担当する検察幹部の対応やそれを指揮する最高検や法務省の判断が、被害者を蔑ろにするあまりに酷いものでした。現場の検察職員は懸命に仕事をしているのに、検察組織がこんなにも不正義で闇深く、組織防衛に走り、被害を受けた職員にすら寄り添わない組織であったことに絶望しています。

──検察の「闇」とは何でしょう。

 私の事件は、検察の組織としての問題が根底にあると思っています。

 まず、絶対に起きてはならない検事正によるレイプ事件が起きました。起きたのであれば、検察という組織の中でなぜ事件が起きたのか徹底的に検証し、他に被害はないか徹底的に調査し、二次被害防止も含めた再発防止策を講じるべきでした。

 しかし、昨年2月の被害申告後、検察組織内で徹底した検証や調査、再発防止策は全く講じられていません。現職の検事正の権力を使ったレイプ事件、現職の副検事らによる二次被害という前代未聞の事態が起きているのに、検察庁は記者会見も開かず、外部にも内部にも説明をしません。また、検察組織内で一人の人間としての権利や尊厳を踏みにじられている私に対し、検事総長以下、誰も謝罪をしません。検察は事件を個人的な被害と矮小化して、組織としての責任逃れをしようとしています。

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