
女子校や男子校の共学化が進む中、別学は必要なのか。女子校出身で漫画家・コラムニストの辛酸なめ子さんが自身の学生時代を振り返り、またジェンダー意識の変化に伴う学校や生徒たちの価値観の変化を語りました。AERA 2025年4月7日号より。
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女子校は「常に自然体でいられる楽園のような場所」なのかもしれません。多感な時期なので「共学だと異性の目が気になって自己表現しづらい」という人も、自分を出しやすくなるのでは。
リーダーが育ちやすい傾向もあると思います。女子校出身者には「なんとなく男性に遠慮しちゃう」という発想がない。私の友人にも、自分で起業した女子校出身者が何人かいます。
私が初めて女子校出身者の本を出した14年前は、まだ「女性はこうあってほしい」というジェンダー意識が強かった。批判的な意見を言うと「女性なのに可愛くない」という目で見られることが、生きづらさになっていた。でもその後、女性らしさ・男性らしさを押し付ける風潮は徐々に薄れ、女性の生きづらさは以前より減ってきました。
女子校にも、そんな時代の流れを受けて変化が見られます。
「良妻賢母系」と言われてきたところも進学実績を高めるなど、最近は「女性も社会に出て活躍するのが当然」という空気になってきている。生徒たちの価値観も変わり「自分で活躍して稼げばいい」と考える人も増えています。進学校の女子たちが「男性の収入なんてどうでもいいよね、自分で働けばいいんだから」と会話しているのを聞いたこともあります。
最近は女子校や男子校の共学化が進んでいますが、性格的に別学のほうが自分を生かせる人もいれば共学のほうが楽しい人もいる。別学と共学の両方あってこそのジェンダー平等ではないかと思います。
※AERA 2025年4月7日号