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「共通一次試験」「大学入試センター試験」「大学入試共通テスト」と変遷してきた大学入試だが、いつの時代も受験生は「模試」を受けてきた。「駿台模試」「全統模試」「進研模試」「東進模試」などで、志望校のA判定をもらって喜び、C判定で奮起し、E判定は見て見ぬふりをし、本番での予想スコアを見て一喜一憂してきた。そして全国順位も確認しては、「自分の立ち位置」を確かめたものだ。

 学生時代から年を重ねた後でも、ふと受験当時の模試の判定や順位を口にしてしまう人もいるくらい、多くの人が真剣に模試を受けていた。大学受験という1つの目標に向かって努力してきたある意味「共通の話題」だった。

 大人になっても同じようなテストがある。TOEICテストだ。毎年のべ200万人ほどの受験者が各回共通の問題を解き、10点~990点というスコアがつく英語のテストだ。受験者の多くは、昇進試験や入社、転職のため、ハイスコア獲得を目指している。現在までに累計で5000万人が共通の受験体験をしている。

 2025年現在、TOEICテストは年に18回行われているが、そのどの試験でも実力が同じであれば同じスコアが出るように難度と算出スコアが設計されている。TOEICスコアが安定しているからこそ、TOEIC愛好者は、600点、700点、、、990点満点と、それぞの目標を掲げ、時には数年にわたって試験を受け続ける。自分とスコアの闘いをして、SNSで同じような学習者とつながっては、TOEICという共通体験を楽しんでいる。

 そのTOEICテストだが、これまでは大学受験のような「模試」が存在しなかった。場所、時間、費用の面で実現が困難であったからだろう。

 しかしこのほど、TOEIC業界初の全国統一模試が開催されることとなった。

 場所をAI英語教材である「abceed」というオンライン上に移動することで、秘匿性を担保しつつ、受験者が初見であり、かつ受験者に共通の問題を制限時間に従って受験できるようになったのだ。

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