横浜のセンター、阿部葉太(写真提供・日刊スポーツ)
この記事の写真をすべて見る

 横浜の19年ぶり4度目の優勝で幕を閉じた第97回選抜高校野球ドラフト候補となる選手にとっては今年最初の大きなアピールの場となったが、果たして評価を上げた選手は誰だったのか。プレーぶりなどから探ってみたいと思う。今回は野手についてだ。

【写真】龍谷大平安の甲子園優勝投手で侍ジャパンでも活躍したのはこの選手

 まず最も強いインパクトを残した選手として挙がるのが横浜のセンター、阿部葉太だ。入学直後からレギュラーとなり、昨年夏は2年生ながら主将も任されて話題となった。今大会でも1回戦の市和歌山戦こそ力みが目立って1安打に終わったが、2回戦の沖縄尚学戦では右中間スタンドに飛び込む先制スリーランを放つなど4打点の活躍。決勝でも4安打3打点の固め打ちを見せて5試合で10安打、10打点、打率.455と見事な成績を残したのだ。体格は年々たくましくなっており、それに比例するようにバッティングも力強さがアップしているように見える。豪快に引っ張るだけでなく、左方向にも強い打球を放ち、低めの変化球も拾うようにしてさばくなど対応力も高い。またセンターの守備でも決勝戦ではあわやタイムリーという当たりをダイビングキャッチするなど球際に強く、走塁面でも4盗塁を決めるなど積極的に次の塁を狙う姿勢も光った。外野手としての総合力は高校生ではナンバーワンということを示した大会と言えるだろう。早い段階から大学進学という話もあるが、もしプロ志望に転じた場合は高い順位での指名もありそうだ。

 大会前に阿部と並んで注目度が高かったのが蝦名翔人(青森山田・二塁手)と赤埴幸輝(天理・遊撃手)の内野手2人だったが、ともにチームが初戦で敗れたこともあって、強くアピールすることはできなかった。

 蝦名は沖縄尚学戦の第1打席では末吉良丞(2年)の投じた内角の142キロのストレートをレフト前に弾き返して巧みなリストワークを見せたが、放ったヒットはこの1本のみ。チャンスの場面では併殺打に倒れるなど、持ち味を発揮することはできなかった。打撃についてはバランスの良いスイングが目についたものの、物足りなかったのがそれ以外のプレーだ。セカンドの守備では一・二塁間の追いつきそうな打球を捕球できず、二遊間の当たりも何とか逆シングルでおさめたが送球が弱く内野安打としている。体が大きくなったことでフットワークのスピードが少し落ちた印象で、走塁面も物足りなさが残った。

 赤埴も2つの四球を選んで出塁し、トップバッターとしての役割はそれなりに果たしたもののノーヒットに終わった。スイングの形やタイミングのとり方は悪くないが、体つきがまだ細く、振り出しの鋭さとインパクトの強さはまだ物足りない印象を受ける。ショートの守備についてもハンドリングにセンスの良さは感じるものの、フットワークとスローイングはそこまで目立つものがなかった。ただ、ともに4月3日から行われるU18侍ジャパン候補の強化合宿に招集されており、ポテンシャルの高さは誰もが認めるところである。夏に向けてレベルアップしていけば、高校からのプロ入りも見えてくるだろう。

次のページ 高校生キャッチャーではトップ級の強肩強打