手が届く超望遠ズームが性能向上で使いやすく進化
2013年に発売され、35ミリフルサイズ対応で600ミリまでのズームレンズとしては、大きさや価格が手頃で、野鳥や動物、鉄道、飛行機のカメラマンにユーザーが多いタムロン150.600ミリ。その人気レンズに早くも新モデルが登場。たたずまいが似ているが、デザインの変更だけではない。ユーザーの声を数多く取り入れて大きな進化を遂げている。
手にとってまず気に入ったのはフレックスズームロック機構だ。ズームリングをレンズ先端側にスライドさせると、どの焦点距離位置でも瞬時にズームリングが固定される。ホールディングが安定するので手持ち撮影で重宝する機構だ。
三脚座の底部はアルカスイス規格互換のクイックシューになっており、対応の雲台にそのままセットできる。これもユーザーのニーズに応えた仕様で好感が持てる。
外装は、ほかのSPシリーズ同様に滑らかで上質なデザイン。簡易的だが、防滴構造になっており、レンズ前面の防汚コートも施され、フィールド用のレンズとして頼もしいつくり込みだ。テレ側にズームし、レンズを繰り出した状態でも鏡胴のガタツキはなく、総じて非常に高品質な仕上がりだ。
光学系も一新されている。気になる画質はというと前モデルでもすでに文句のない描写力だったが、ズーム全域での画質がより安定した。使用面では最短撮影距離が2.7メートルから2.2メートルに短縮されたことが最もうれしい改良点。画質の低下は最小限に抑えられており、600ミリのテレマクロ的撮影が楽しめる。
4.5段分に向上した手ブレ補正も、手持ち撮影において強い味方になる。補正の種類も通常モードに加え、流し撮りモード、シャッターが切れる瞬間のみ補正するモードの3種類から選べるようになり、動く被写体をとらえやすくなった。
本レンズに合わせて発売される1.4倍と2倍のテレコンバーターも注目したい。1.4倍のテレコンバーターを装着すれば840ミリ、2倍なら1200ミリの焦点距離となり、圧倒的な超望遠の世界を手軽に楽しめる。野鳥撮影などは600ミリ以上の焦点距離が欲しい場面は多いので、テレコンバーターとの同時購入も考えたいところだ。ただし、開放F値が暗くなるので、AFで使いたい場合は組み合わせるボディーに制限があるので注意だ。
完成度をワンランク高めてきた新150.600ミリ。ここまで盛り込まれていれば前モデルからの2万円アップも安いものと言っていいだろう。
◆今浦友喜
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SP 150-600mm F/5-6.3 Di VC USD G2(Model A022)
●焦点距離・F値:150~600ミリ・F5~6.3●レンズ構成:13群21枚(LDガラス3枚)●最短撮影距離:2.2メートル●最大撮影倍率:1:3.9●画角:16°25' ~4°8'●フィルター径:φ95ミリ●マウント:ニコン用、キヤノン用、ソニー用●大きさ・重さ:キヤノン用:φ108.4×260.2ミリ・2010グラム、ニコン用:φ108.4×257.7ミリ・1990グラム●価格:税別16万円(実売14万8500円)
TELE CONVERTER 1.4x (Model TC-X14)
●倍率:1.4倍●レンズ構成:3群6枚●大きさ・重さ:キヤノン用:φ70×21.4ミリ・205グラム、ニコン用:φ62.6×32.3ミリ・180グラム●価格:税別5万6000円(実売5万1290円)
TELE CONVERTER 2.0x( Model TC-X20)
●倍率:2倍●レンズ構成:5群9枚●大きさ・重さ:キヤノン用:φ69.8×53.6ミリ・360グラム、ニコン用:φ62.3×53.6ミリ・305グラム●価格:税別5万6000円(実売5万1290円)●URL:http://www.tamron.co.jp/