
強豪ロサンゼルス・ドジャースへ移籍した昨季、本塁打と打点の2冠に加え、史上初となる”50-50”を達成、さらにはワールドシリーズ制覇という歴史的なシーズンを送った大谷翔平。今季はどんな活躍を見せるのか。AERA 2025年3月31日号より。



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やはり役者が違うというべきか。メジャーリーグで8年目を迎えたドジャースの大谷翔平が開幕シリーズからエンジン全開だ。
3月18日、東京ドームで行われたカブスとのメジャーリーグ開幕戦。1番DHで先発した大谷は、昨季のワールドシリーズで痛めた左肩の手術の影響を微塵も感じさせず、第1打席からフルスイングを見せつけ、スイングのたびに東京ドームはどよめきに包まれた。
今季初安打は五回。高めの球を引っ張ってライト前に運んだ。九回には低めの変化球に体勢を崩されながら二塁打を放ち、この日は5打数2安打。先発した山本由伸を援護し、開幕戦勝利に貢献した。
「打」に重きを置く
待望の一発が生まれたのは第2戦の五回だった。相手投手の160キロ近い速球をたたき、滞空時間の長い打球は右中間へ。今季第1号本塁打は、自己最速タイの開幕2戦目での本塁打だった。日本凱旋試合での一発に満員の観衆は熱狂した。
昨季は開幕から8試合、本塁打が生まれなかったが、終わってみれば54本塁打を放って本塁打王に輝き、さらに59盗塁も記録して「50-50」を達成と、前人未到の驚異的な記録を残した。さらなる飛躍もと期待したいが、昨季は右ひじ手術の影響で打者専念のシーズンで、今季は投打の二刀流が復活する見込みだ。となれば、昨季以上の打撃成績を望むのは難しいか。
「去年より成績が下がるというのが一般的な見方だと思いますが、むしろ去年と同等か、あるいはそれ以上の成績も期待できると思っています」
そう語るのは大リーグ評論家の福島良一さんだ。ドジャースのチーム事情、そして打者としての起用法から、打撃の期待感が高まっているという。
「エンゼルス時代とは違い、ドジャースは大谷選手に投手としてもフル回転を望む状況にはありません。豊富な先発投手陣を抱え、手術明けの大谷選手を無理して起用する必要もない。投打の比重では『打』に重きを置くはずです」