
麻原元死刑囚と妻には2男4女の子どもがいる。妻を含め、麻原家の誰もアレフの名簿に名を連ねてはいないが、かねて妻を含め一部の家族による教団への介入が指摘されてきた。
麻原元死刑囚は自らの子どもたちの教団での地位について、地下鉄サリン事件の前後で2回、重大な発信をしたとされている。
1度目は、サリン事件の前。麻原元死刑囚は「すべてのステージの上に皇子を置く」とする通達を出した。皇子とは麻原元死刑囚の子どもたちを指し、前述した教団内の地位のなかで、信者の最高位である正大師のさらに上に子どもたちを位置づけた。
2度目は、逮捕後の1996年。今度は拘置所からの発信だった。長男と次男を自らに代わる教祖に指名する、というものだった。
アレフの信者はこうしたメッセージに縛られているとみられる。公安調査庁によると、2014年ごろから、次男を麻原元死刑囚の後継者として迎え入れようとする動きが教団内にあるとされる。次男の復帰を願うよう幹部が一般信者を指導したり、イベントなどの場で次男の後継者としての正統性や偉大性を強調したりしているという。コロナ禍以前までは、毎年3月に次男の誕生日を祝う「生誕祭」が執り行われてきたともいわれる。しかし麻原家のメンバーは誰も教団の名簿に名前を連ねておらず、外形的には教団とは無関係となっている。
オウム元幹部に届いたある告発文
〈もうみんな嫌気がさして恐怖におびえています〉
昨年10月、オウムの元幹部信者・野田成人氏のブログ上で、アレフの内情を訴えるこんな「告発文」が公開された。送り主は匿名の「元関係者」。告発者が「恐怖」と語るのは、麻原元死刑囚の次男のことである。
告発は3400字に及ぶが、かいつまんで紹介すると以下のような内容が記されている。
現在のアレフの運営体制は、「合同会議」という幹部信者による合議で行われ、特定の代表者は置いていない。2017年ごろから、麻原元死刑囚の次男が主宰する「裏合同会議」が事実上の意思決定機関になった。この次男が合同会議の幹部を招集して通信アプリによる会議が開かれ、重要事項はここで決められるようになった。初期は宗教的な話題が多かったのだが、近年は公安調査庁による立ち入り検査や教団が抱える裁判、教団資産などについての対策が主になっている。