この告発文に続いて今年1月、宗教をテーマにしたあるサイトにアレフ元幹部を名乗る人物のインタビューが掲載された。

〈まるでハリーポッターに登場する「名前を呼んではいけないあの人」のようです。――――――――多くの場面で「例のあの人」のように呼ばれています〉

 告発文とこのインタビューの内容は、裏合同会議の存在を指摘するなど根幹部分で共通点が多い。信ぴょう性については定かではないが、アレフを脱会した別の元幹部信者は「意思決定のシステムとその変遷、再発防止処分対策で新しい人事制度を作ったことなどが正確で具体的」と指摘する。オウム真理教と30年以上闘ってきた滝本太郎弁護士は「教団の幹部信者でなければ分からない内容が含まれている。昨今、幹部信者の脱会が目立ってきており、告発文はそうした人が信頼する野田氏に宛てて自らの不満を書いたものだと思う」と話す。団体規制法の下で教団を観察対象としている公安調査庁も告発文に関心を示しており、内容の真偽について調査を進めているという。アレフは裏合同会議の存在を否定している。

制限される活動と細る資金

 アレフなど3団体には団体規制法に基づく観察処分が継続して下されており、いずれの団体も公安調査庁による立ち入り検査の受け入れのほか、3カ月ごとに構成員の名簿や資産などの状況を提出することが義務づけられている。ところがアレフは近年、これらの資料の一部を提出しなくなったという。

 団体報告を怠っていることにより、アレフには23年、観察処分に加えて、団体規制法に基づく再発防止処分が下された。アレフは現在、全国におよそ20ある教団施設のうち16施設の全部または一部の使用ができなくなっている。教団は在家信者向けの物品販売やセミナーの開催などで一定の収益を上げているとされるが、こうした収益事業の事業所の使用も禁止された。さらに金品の贈与も禁じられ、お布施を受けることができない。アレフの収益は相当に追い詰められてきているとみられる。

 アレフが公安調査庁に報告している資産は、2019年には約13億円あったのが、年々急激に目減りし、直近(昨年11月)では5000万円となった。だが、この金額について同庁は懐疑的だ。地下鉄サリン事件などの被害者や遺族に対する賠償金について、「オウム真理教犯罪被害者支援機構」に対するアレフの未払い額は約10億2500万円であることが、20年の最高裁判決で確定した。しかしアレフはその後も支払いに応じていない。最高裁判決を機に、教団はこれまで報告してきた収益事業の一部を「アレフとは無関係」などとして報告対象から外しているといい、極端な資産の目減りはこうした工作の結果だと同庁はみている。同庁の担当者は報告資産の急激な縮小は「賠償を逃れるための資産隠しではないか」と話す。

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アレフ側の回答は…