
では、教団には実際にどのくらいの資産が残っているのか。公安審査委員会は昨年、4回目の再発防止処分に踏み込んだ決定のなかで、「9つの事業名義の資産は今年1月末時点で約7億円にのぼるのに報告されていない」としている。
一方で、宗教だけでなく、収益事業などの活動を制限する再発防止処分が教団を資金面で圧迫してきていることに変わりはない。追い込まれた教団内で危険な動きが出てこないか、公安当局は警戒する。
幹部脱会で“崩壊”の兆し
滝本弁護士によると、ここ1~2年の間に、合同会議のメンバーに名を連ねる「師」クラスの幹部らのなかから何人も脱会者が出たと推定される。昨今の脱会の特徴は、麻原信仰に疑問を持ったゆえの脱会ではなく、今のアレフという組織自体に我慢ができず離れただけ、という特徴があるという。
意思決定機関の合同会議はここ最近はあまり開かれていないという情報もあり、組織運営が機能しているのかどうかさえ分かりにくくなっている。一方で、合同会議のメンバーである幹部が、長期の修行をさせられたという情報も飛び交い、組織としてのまとまりが感じられなくなっているという。
「地下鉄サリン事件から30年。再発防止処分で金銭もきつくなり、また分派ができる時期でもある。これから出現する『グル』の願望により方向は変わるが魅力がなければ崩壊していく。早くクモの子を散らすようにさせたい」(滝本氏)
***
アレフ広報部の話
一連の事件の被害者の方々に対する補償については、これからも継続していく所存です。アレフに「裏合同会議」なるものがあり、「次男による独裁が進められている」という事実はありません。インタビュー記事のなかにある「『師』というステージで」「教団運営に関わっていました」という「元幹部」に該当する者の在籍は確認できませんでした。
(AERA dot.オウム取材班)

