
米国株メインの投資信託を買っている個人投資家が多いため点検。12の資産の21年間のリターンを調査したら意外なアノマリーが見えた。AERA2025年3月24日号より。
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新NISAで買われている外国株式の投資信託の基準価額を見ると、ここ5年は概ね右肩上がり(2022年は少し調整)。最近資産運用を始め、米国株メインの投資信託を定期的に買い続けている人は今年2月下旬からの下落で不安かもしれない。
21年にS&P500が急上昇した際、SNSで「S&P500は、もはや預金」という人が何人かいた(決して預金ではなく、むしろリスク高めだが)。最近は預金発言こそ見かけないが、多少の調整があっても個人投資家は積み立てをやめてはいないようだ。四半世紀以上、国内外の株式市場を見てきたSBI証券執行役員常務・投資信託部長の上原秀信さんはいう。
「24年は『米国株が特に好調なターン』でした。国内、先進国、新興国の株式や債券、国内外のREIT(不動産投資信託)、金など金融の世界にはさまざまな資産があります。経済情勢により好調な資産は移り変わり、米国株も不調になる年があります。本格的な下落が長く続いて新NISAを投げ出さないよう、過去に学んでおきたい」
新NISAで買えるインデックス投資信託の指数を中心に、04年以降の21年間の年別リターンを算出してもらった=表。S&P500、全世界株式、先進国株式・債券、国内株式(TOPIXと日経平均株価)・債券、新興国株式・債券、国内外REIT、金(ゴールド)の12資産。参考までに各年の為替(ドル/円)のリターンも付けた。王冠の「1」のマークはそれぞれの年で一番成績がよかった資産である。この表、おもしろい。
「今回の表は、円建て・配当込みで試算しています。これとは別にドル建てでも試算しましたが、それと比較すると、米国株メインの投資信託は円安に助けられていることがよくわかります。たとえば22年のS&P500はドル建てで▲18.1%、円建ては▲6.7%でした」
21年間のリターン(04年に買い24年まで保有)で見ると、S&P500が999%でトップ。これは想定内として、2位は米国株比率の高い先進国株式だろうと思ったら「金」817%だった。先進国株式は746%、全世界株式は642%。われらが日本株はTOPIXが265%、日経平均が396%。
「年別に見ると、24年はS&P500が1位だと思っていたら39.3%で2位でした。1位は金で39.9%。金の上昇は認識していましたが、S&P500より成績がいいとは」