日本株輝いた13年
21年を振り返ると日本株がよかった時期もある。13年、国内株式の日経平均が59.3%、TOPIXが54.4%。
「12年12月に第2次安倍政権となり、13年が本格的アベノミクス。日本株はもちろん絶好調でした。ただ、この年は他も好調で、S&P500が60.7%で1位。株式も債券も買われ、金のみ▲11.8%でした」
表に挙げた12の資産の中で毎年の成績が安定して良いのはどれなのか。資産別に21年間の年平均リターンもお願いした。
「年平均で見るとS&P500がトップで15.1%でした。2位が先進国REITで14.2%。3位が先進国株式14.1%。4位が全世界株式と新興国株式でいずれも13.3%、6位が金で12.2%です」
先進国REIT安定
え、先進国REITが2位。あまりチェックしていなかった。
「先進国REITは株式と連動していそうなのですが、完全に連動しているわけでもなく、債券のような抑えも利き、私は好感を持っています。国内REITは金利上昇局面ということもあり不調ですが、逆張り投資家は価格が安く分配金利回りが高い今のうちに仕込んでいる様子」
投資の教科書には株・債券・不動産に分散せよと書かれているが、今回の21年検証の結果をふまえて三つ選ぶなら「米国株・金・先進国REIT」か。
最後に上原さんが興味深いデータを教えてくれた。
「国内債券の円建ては21年間で20.3%上昇ですが、ドル建てで見ると▲21.4%だったのです。ドル……つまり海外から見て円は、この21年で2割も価値が失われたことになります。日本で暮らし、日本円で買い物をしていると気づきにくいですが、やはり日本円以外の資産を持つ重要性を感じます」
(経済ジャーナリスト・向井翔太、編集部・中島晶子)
※AERA 2025年3月24日号

