
「結婚」は人間にしかできない
「私はこのショーが大好きだったんですが、歌い出した瞬間にレーザー光線がピラミッド形になって、その中に包まれたときに『あ、やめよう』『これでやめられる』と思ったんです。客席と舞台と自分が一体になった瞬間を体感できた、すごく不思議な瞬間でした。後輩に紫吹淳さんというスターもいて、いつやめようかと探っていた時期でもあったんです。後悔がないかと言われたら、それはいろんな面であるんです。でも、もっと大きい面で『やり尽くしたな』という思いはありましたね」
98年にはTAKARAZUKA 1000days劇場、2001年には東京宝塚劇場のこけら落とし公演で主演も務めた。真琴さんは5年間トップスターを務め、01年に宝塚を退団した。
高校3年生のとき、宝塚に入ることを反対していた両親は、真琴さんがトップスターへと駆け上がっていく姿をどう見ていたのだろうか。真琴さんが宝塚で活躍するようになって和解したのですか、と尋ねると「それがわからないんですよ」という。
「結局、舞台を見に来たかどうかも、わかるのは1回だけです。それも父親が『初舞台を見に行った』というのを、(実家の)お店に来ていたお客さんに話していて『あ、来たんだ』と思ったぐらいで……。やめてからは何回か見に来てくれましたが、宝塚にいる間は本当にわからないですね。母は昨年亡くなり、『そのときのことを聞くのを忘れた!』と今でも思っています」
退団後は、長年男役をしていたことで、私生活でも困ったことが起こるようになった。特に「人に頼る」ことが難しいと感じているという。自宅では猫を飼っていて仕事以外で家を長く空けられないので、個人的な旅行はこの10年していない。10年以上前から「70歳までに結婚したい」と思っていたが、「気づいたらあと10年ですよ」と笑う。今も結婚願望はあるのだろうか。
「人間に生まれたからには、人間にしかできない結婚という形はとってみたいなとは思います。人生勉強にもなると思いますし。以前、江口洋介さんと伊藤英明さんを足して2で割ったようなかっこいい男性と結婚する夢を見たんです。その後はしばらく、カフェに行っても入り口に向かって1人でお茶して、運命の出会いを待っていたことがありましたね(笑)。当然ながら、夢の通りにはいきませんでした」