第1位 JR神戸線:営業キロ87.9キロ、駅数39駅。JR神戸線は大阪から姫路までの区間の愛称。通勤特急「らくラクはりま」は、新快速「Aシート」とともに多様な着席ニーズに対応(写真:JR西日本提供)
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 駅を中心に街をつくり、沿線開発を競ってきた大都市圏の鉄道網。どの路線が強いのか。真の強さとは何か。関西の鉄道に精通したライターに、西のトップスリーを挙げてもらった。AERA 2025年3月24日号より。

【稼ぐ力がダントツ!】最強の鉄道会社は・・・

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 関西で「強い路線」はどこか。

「西」は、フリーライターの新田浩之(ひろし)さん(37)に挙げてもらった。『関西の私鉄沿線格差』の著書がある、関西の鉄道に精通した人だ。その新田さんがトップに挙げたのは、JR西日本の「JR神戸線」だ。

 JR西は、23年度の売上高は1兆6350億円で関西の鉄道ではもっとも大きく、鉄道界の「西の雄」。その中で神戸線は、大阪から姫路までの約88キロ。途中、三ノ宮、神戸、西明石、姫路などの都市を結び、関西の幹線としての性格を持つ。しかし、関西圏で様々な鉄道ネットワークを持つJR西の中で、なぜ神戸線が「西」のトップなのか。

「関西の鉄道の中でも座席指定車両が充実しています」

 と新田さん。

 JR西は神戸線などで19年、新快速に有料座席車両「Aシート」と、6両編成の通勤特急「らくラクはりま」を導入した。有料座席は首都圏の鉄道会社の大半が導入していたが、関西では採用する鉄道会社は少なかった。だが、関西でも訪日客の増加や高齢化などを背景に「有料でも座りたい」という声が高くなり、JR西は導入に踏み切った。利用者は拡大し、23年には「Aシート」を1日2往復から6往復に増やした。そしてこの春、神戸線を走るらくラクはりまも、平日1日1往復から2往復に増発されたのだ。

 らくラクはりまの最大のポイントは「快適さ」。シートがリクライニングシートで、長時間の乗車でもゆったりと通勤時間を過ごせる。車両には、男性用・女性用とトイレも設置されている。JR西の快適に通勤したいというお客のニーズに応える点が高く評価できる、と新田さん。

乗り継ぎの割引額引上

「また、途中に停車する西明石駅にJR西は新駅ビルと分譲マンションを建設していて、住みよい街づくりを目指しています。西明石駅からは6時1分発の東京行き『のぞみ』が発車していて、東京に8時51分に着きます。これも、JR神戸線の強みの一つです」

 次に強い路線として挙げるのが「北大阪急行電鉄(北急)」だ。

にった・ひろし/1987年生まれ。関西の鉄道、中欧・ロシア等の鉄道旅行、歴史を執筆。チェコ政府観光局公認チェコ親善アンバサダー(写真:本人提供)
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