――チャトリさんがよく言われていますが、格闘技界における大谷翔平のような選手が必要と。
そうです。日本人はやっぱり大谷翔平のストーリー、日本人が世界に行って活躍するというのが好きです。自国の選手が活躍するのを好むのはどこの国でも同じですが、日本は特にその傾向があります。他の国では世界でベストのものを持っていけば満足してくれますが、日本はそれでは足りないんです。以前はそれが分かっていませんでした。6年前にデメトリアス・ジョンソンやエディ・アルバレスといった世界ベストの選手たちで日本大会を行いましたが、あまり熱を生み出すことができませんでした。でも、今回はその熱を感じています。
――武尊選手を筆頭に、今回は初参戦となる海人選手、吉成名高選手と日本のスター選手が揃っています。メインで行われるロッタンvs武尊戦はどのように予想されますか?
2人とも好きな選手ですが、どちらが勝つかと言うと60%の確率でロッタンかもしれません。それはロッタンが武尊より6歳若いからです(※33歳の武尊に対しロッタンは27歳)。いや、55%ロッタンが有利ですかね。武尊くんは大好きだしすごく応援しています。
――ともに好きな選手と言われましたが、やはり文化や習慣の違いを超え、観客を魅了する試合のできる武尊やロッタンのような選手がONEの求めるファイター?
武尊くんはリングではすごく激しいファイティングスタイルで、でもリングを降りると真面目でファッショナブルでカッコいい。だからマーケティングは簡単だし、世界中にファンができます(笑)。今回の試合はヨーロッパ、アメリカ、中国、タイと世界中が注目しているので、また広くファンを獲得すると思います。
――今大会は立ち技の試合が多く組まれていますが、今後もONEはこの傾向を強めていくのでしょうか。
いえ、カタールのイベントはMMAが75%でした。なのでONEはその国で支持のある格闘技に力を入れていきたいと思います。日本はMMAよりキックのジムが多いし、やっぱりアジア人は立ち技が好きです。習っている人が多いし、中国で言えば5000年とも言われる歴史があります。実際に習っていなくても見る機会が多く、目が肥えているんです。それだけ長い歴史があります。ですが、今回の(若松)佑弥とアドリアーノ(・モラエス)の試合(※MMAフライ級タイトルマッチ)のように優れたストーリーがあれば、もちろん組んでいきます。アドリアーノはMMAの歴史においてもベストであるデメトリアスを過去にノックアウトしています。だから佑弥が今回勝ったら、世界中に名前が響き渡ると思います。