再び名前が浮上してきた高市早苗氏

「政治活動以外に考えられない」

 石破茂首相が率いていた派閥の政治資金パーティー収入の一部の不記載について、政治資金規正法違反にあたると刑事告発している神戸学院大学の上脇博之教授は、この「商品券」問題でも告発を考えているという。

「石破首相の記者会見を聞くと、最初から政治資金規正法の『政治活動に関する寄附の禁止』が焦点となると、答えを用意してきた感じですね。場所が公邸で、15人の当選1回の議員と官房長官、官房副長官まで集まるというのは、政治活動以外には考えられません。私は政治資金規正法に抵触するものと思っています。石破首相が政治活動ではない、私費だと言っても、国民の目から見ると非常に怪しげに映るはず」

 神奈川県の市民団体代表は3月14日に、石破首相や会合に参加した15人の議員を、政治資金規正法違反で東京地検に刑事告発したと公表した。

 この問題が明らかになる前日、3月12日の自民党参議院総会で、西田昌司参院議員が、

「参院選は今のままでは全く戦えない。総裁選をやって、新しいリーダー選ぶべきだ」

 と石破首相に退陣を迫っていた。

総裁選に向けて動き出した旧安倍派

 西田氏は旧安倍派に所属していたが、党内では石破首相によって冷遇されている旧安倍派がこの機をとらえて「石破おろし」に動き回っている。当選1回のA議員が言う。

「私は自分から10万円の商品券をもらったなんて誰にも言っていません。けど、旧安倍派の人から、『商品券もらったとマスコミの前で言え』などとけしかけられています。また『これで石破首相の退陣は時間の問題。次の総裁選では、協力してくれ』とも誘いがありました」

 党内では次の首相候補として、先の総裁選で石破首相と闘った高市早苗氏や小林鷹之氏、茂木敏充氏らの名前が急浮上しているという。

 高市氏に近い議員は、「準備を急がないといけない。石破首相は長くない」と話す。

 立憲民主党の幹部は、

「内閣不信任案を出せば、少数与党なので石破政権を倒せるチャンスがきた。さすがに維新も国民民主も、自民にはつけないはず」

 と勢いづき、維新の幹部もこう話す。

「新年度予算案では賛成したが、不信任となれば別。とてもスキャンダルな自民党に迎合することはできない」

 石破首相と長年の付き合いがある自民党の元政務調査役で政治評論家の田村重信氏はこう話す。

「カネにはきれいだということが売りだった石破首相にとっては、大きなマイナス。これで石破おろしが勢いづく可能性は十分あります。政治とカネの問題がくすぶっている中でのスキャンダルはあまりにタイミングが悪すぎた。夏の参院選より先に解散総選挙、あるいは衆参ダブル選挙という可能性も出てきた」

(AERA dot.編集部・今西憲之)

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