原発への攻撃は「核攻撃」と同じ
この話は、火力や水力など大型の発電所にも当てはまるが、原発にも当然当てはまる。「明日のウクライナ」になりたくなければ、同国が得た貴重な教訓をなぜ生かさないのか。
ウクライナにある欧州最大のザポリージャ原発がロシアに攻撃されたという情報が流れて、世界中が肝を冷やしたことも思い出すべきだ。原発を攻撃されることは、核攻撃されることと同じリスクがあることもまた我々は思い知らされた。
戦争になれば軍事基地やレーダー施設は最初に狙われる。日本で言えば、米軍基地や自衛隊の基地、最近立て続けに設置された沖縄・奄美地方のレーダー施設は一番危険である。武器工場なども攻撃対象になるはずだ。その次に狙われやすいのが発電所などの重要なインフラ設備である。
国際法上原発については、被害の甚大性の観点から、一般の民間施設以上に特別な保護を与えることになっている(ジュネーブ諸条約追加議定書第56条)が、それでも、原発が軍事目的に利用されているとして攻撃される可能性は残る。相手がロシアや北朝鮮のように国際法を破ることをためらわない無法国家であるならなおさらだ。しかも、両国はともに、自国を守るためとは言いながらも、核兵器の使用を示唆している。こうしたことを日本の安全保障環境が著しく危険な状況になっていると強調する自民党右派はどう考えているのか。
彼らが言うとおりいつ戦争が起きるかわからないのだとすれば、原発に対するミサイルなどによる攻撃を100%防御する対策を講じることが、何よりも優先すべき課題になるはずだ。原発への攻撃は、他のどの対象への攻撃よりも被害が甚大で、まさに日本が崩壊するリスクさえあるからだ。
では、原発への攻撃を100%確実に防ぐ方法とは何か。
瞬時に全ての原発を廃炉にできれば良いが、それは物理的に不可能。だが、被害を大きく減少させる方法はある。それは、原発の稼働をすぐに止めて、使用済み核燃料を現在のようにほぼ無防備な使用済み核燃料プールに置き続けるのではなく、乾式貯蔵を含めた方法で地下深い貯蔵場所で保管することだ。これにより、大規模放射能汚染は防ぐことができる。
これくらいのことは、私がここに書くまでもなく、中学生でも考えつくことだ。
原発を新たにつくろうというのがいかに愚かなことかは、ウクライナを見ることによって、より明らかになったと言って良いだろう。