19歳の夏に浩宮さま(現・天皇陛下)は、初めておひとりで公式行事に出席し、北海道スポーツ少年大会開会式で初の「おことば」を述べられた=1979年8月、北海道・洞爺湖畔

「コンパに出ることも」と陛下

「学校の外にお茶でも飲みに行きたいなとお思いになることは」
「そうですね、幸いコンパなんかの時には外に出ることもあります」

 などと、くだけたやり取りもあった陛下の記者会見。しかし、将来の天皇となるべく、幼いころから「帝王学」としてさまざまな教養を学んできた陛下だけに、その一端がうかがえる会見だった。
 

 学習院大学で史学科を専攻した陛下は、会見で歴史に興味を持ったきっかけについても明かしている。

「小学校の時なんですけれど、とくに仏像が好きで、奈良県に確か3回ぐらい行っていろいろと見たことを覚えているんです」

 小学生だった陛下は、奈良や京都の史跡文化財を訪ねるうちに、御所の庭にも土器が埋まっているのではと考えて、シャベルであちこちを掘り返した。縄文土器のかけらを発見したのは、初等科5年生のときだった。

 陛下は会見のなかで、土器を発見したエピソードについて触れている。

「それからちょうどこの御所の庭に、以前砂場があったんですけれども、そこを掘っているうちに、偶然に縄文土器だとか弥生土器を発見したこと、こういったこともひとつあります」

11歳の誕生日を前に、母の美智子さまと『奥の細道』を読む浩宮さま(現・天皇陛下)=1971年2月、東宮御所、宮内庁提供

 続けて陛下は、やはり小学生のときに御所を散歩していて「奥州街道」という看板を見つけたと話し、

「つまり、鎌倉時代の時だと思うんですが、昔そこに街道が通っていた。その時なんか非常に言うに言われぬ興奮を味わったんです」

 のちに古い地図を見たところ、「一里塚跡」と書いてあったことから藪の中を探した。その跡は見つからなかったが、それから「道」に興味を持ったと続けた。

 また、小学生のときに母と松尾芭蕉の『奥の細道』を読んだことも、「道」への興味からだったことなどを、記者会見で明かしていた。
 

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「彼を一人前にするのはお前らの仕事」と寛仁さま