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 Z世代の女性向けエッセイ投稿サイト「かがみよかがみ(https://mirror.asahi.com/)」と「AERA dot.」とのコラボ企画は第6弾。「名字について思うこと」をテーマに、エッセイを募集しました。多くの投稿をいただき、ありがとうございました。
 投稿作品の中から優秀作を選び、「AERA dot.」で順次紹介していきます。記事の最後には、鎌田倫子編集長の講評も掲載しています。
 ぜひご覧ください!

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名字が変わって得したことは、記憶にある限りひとつもない。
ポジティブ人間の私でも、名字が変わったことをポジティブ変換するのは難しかった。
せめて、めちゃくちゃ珍しくてオシャレな名字だったら気分も変わってよかったのに。なんならアイスブレイクのネタになって便利だったのに。よくある名字からよくある名字に変わっただけではなく、新しい名字は姓名判断を見ても運気が下がってしまうなんて。

まさか夫婦別姓が日本で導入されるより先に結婚することになると思ってなかった私は、昨年、名字を変えることをつい、了承してしまった。事前に名字変更によって生じる苦労の数々を人生の先輩方からSNSなどを通して聞いていたにもかかわらず、だ。
ちょっとばかり詰めが甘かったことを結婚してからめちゃくちゃ後悔した。

◎          ◎

私は高校卒業後アメリカの大学に進学したこともあり、下の名前で呼ばれることがほとんどで、名字はただの飾りくらいに思っていた。

就職してからも、1社目は大手日系企業だったので名字で呼ばれるかと思いきや、たまたま同じ部署の先輩が同じ名字だったので私は下の名前で呼ばれることに。その後転職先でも、アットホームな会社だったこともあり下の名前で呼ばれることが続いた。
だから名字にもともと固執するつもりはなかった。​

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