不摂生の賜物で声質が変わった

──イケメンボイス、通称イケボの持ち主です。どうしたらイケボになれますか?
えー、なんでしょう(笑)。「またまたー」とか言われるんですけど、自分ではイケボだと思ってないんです。それより、聞いたらすぐにわかってもらえる、癖のある声でありがたかったなって。いわゆるイケボ、まっすぐイケボと言いますか、正統派イケボからは外れている気がします。
声質は、芝居を始めてからずいぶん変わりました。昔はもっと高かった。遊戯王の初期のころは、今とは全然違います。不摂生の賜物ですかね。たばことか。ただ、酒焼けしてるのにお酒は飲めないんです。なんで焼けたんだっていう話なんですけど(笑)。
声優も、声が変化していってもいいんじゃないかと思っています。声をキープすることをよしとする考え方もあるんですけど、僕は自然体のほうが好きと言いますか。人生って、顔とか風貌、空気感と同じように、声にも乗るような気がしていて。だから、役者自身の人生が、声を通じてそのキャラクターに投影されるほうが面白いなって。
──映像監督や脚本家など活動の幅を広げるなか、今後の夢は?
いい芝居、したいですね。芝居の達人は遥か遠くにあるので。あとはやっぱり、昔からの夢だった2時間の映画本編を撮りたいです。
好きな映画は、フェリーニという監督の「8 1/2」が、自分のなかでどこか頂点にある感じがしますね。夢と現実と回想がミックスされた抽象画に近い作品です。
でも僕が映画を撮るなら、一足飛びに抽象画に向かっちゃいけないと思っていて。まず写実も含めて具象をしっかりやって、時が来たら抽象に飛んでみたい。今はまだその段階じゃない、その力がない気がします。いずれ行けたらいいですよね。
(構成/本誌・大谷百合絵)
※週刊朝日 2021年12月24日号