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いつかは映画祭に
――俳優を目指したのも、毎回異なる役柄や職業を生きられると思ったから。変化の多い仕事は飽き性の自分に合っているのではないか、と感じたという。キャリアを重ねたいま感じている「演じる」ことの醍醐味とは。
ファーストサマーウイカ:映画やドラマの撮影では、まず監督のOKをもらうという作業から始まる。第一関門として監督というハードルを越えなければならず、その後も乗り越えなければいけないハードルが多いんです。
自分が「これだ」と思っても、受け入れてもらえないこともある。でも、そこが面白い。自分の考えだけで進んでいくことはないけれど、アドバイスを受けることで「あ、自分にもこんな言い方ができるんだ」という発見がある。いつもどこか足りなくて、満足したことが一度もない。毎回が反省の連続で、正解がないんですね。
先ほどの「殴られ凹んでから立ち直らせるようなものが原動力」という話とも繋がりますね。「もっとできたはず」「違う表現方法もあったはず」と、いつまでも悔しさが残り、スムーズにいくことがない。自分が心から満足するレベルに到達することはまずないという事実がやりがいに繋がっていますし、他人にジャッジを委ねるほかないというのも「役者」という仕事ならではなのかもしれません。
芝居に順位はつけられないけれど、国内外で評価されるような作品はあるわけで、私はまだ一度も映画祭に参加したり、ノミネートされたり、ということができていないので、そうしたことを期待してもらえる俳優になることは、具体的な目標の一つではあります。
いい芝居をして、いい作品を残していくというのが大前提ではありますが、あわよくばその世界に入っていけるよう、頑張っていけたらと思っています。
(構成/ライター・古谷ゆう子)
※AERA 2025年2月10日号より抜粋
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