元フジテレビアナウンサーの中野美奈子さん

胸を半分露出した写真が表紙に

 30年以上前までさかのぼると、もはや若者世代が聞いたら目が飛び出る話ばかりだろう。

 1987年、1991年にそれぞれ発行された「アナ本」「アナ本2」という本では、“三人娘”と呼ばれた看板アナの有賀さつき、河野景子、八木亜希子による書き下ろし恋愛小説が掲載され、表紙には胸を半分露出した写真が使われていた。そこでは、八木が入社後の初仕事となるゴルフ大会のプレゼンターに「バニーガール」の格好をしてくるように言われ、ゴルフウェアにしてもらったことを述懐。有賀はアナウンス部の「Tさん」から「おはよう」のあいさつと共に肩を抱き寄せられていたことがつづられている。

 脈々と受け継がれてきたフジテレビの“性体質”に異議を唱えたアナウンサーもいた。22年3月末にフジテレビを早期退職した佐藤里佳さんだ。

「彼女はアナウンサー室部長だった17年、局長級が集まる定例会議で『最近のアナウンサー採用は役員の好みで変わることが多い』と苦言を呈していたことが報じられています。この時の発言が煙たがられたのかはわかりませんが、21年にアナウンス室を離れることとなりました」(同)

 かつては「30代定年説」もささやかれ、若さと美貌が求められてきた女性アナだが、その「職業」の在り方について本質的な議論が求められる時代になったと言えそうだ。

(泉康一)

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