AERA 2025年2月10日号より

 この女性が結婚したのは23歳のとき。もともと結婚願望は強くなかったが、妊娠がわかったため結婚を決めた。

 流産したものの、二人の生活で夫に合わせることは苦痛ではなかったし、仲も悪くはなかった。ただ、夫より稼ぎが増えないようにし、忙しく働いていると思われないようにしていたという。特に何か言われたわけではなかったが、「夫が劣等感を抱かないように気をつかっていた」と振り返る。

 そんな日々の中、夫と添い遂げるイメージがわかず、他に好きな人ができたことを機に離婚した。

 いまはシングルの暮らしを楽しんでいる。「仕事にフォーカスできるようになりました。時間を好きに使えるし、一人だからできることもある。快適です。一度結婚してみて、自由であるという点で独身のほうが自分には合っていると思った」と話す。

 ただ、旅先で素敵なレストランに入ろうと思っても、一人では入りにくいことがある。マッチングアプリに登録して出会いの機会を作ろうとしたこともあった。

私に結婚は向いてない

 しかし出会った相手が結婚に向けて乗り気なのを感じ、「私は結婚したいわけじゃないんだ」と改めて感じたという。

「人生100年時代。同じ人と何十年も一緒にいられる人たちは偉いし、素晴らしい」とは思う。「でも、私に結婚は向いていない。結婚したことで、そのことを確認できました」とサバサバと話す。

 離婚したからこそ、自分らしい人生を歩いている、と語る女性たち。その背景には、「結婚するのが当たり前」「女性は仕事より家庭を優先すべき」という旧来型の価値観が横たわっていた。

「バツイチ最高!」

 そう言わなくてもよくなる時代が求められている。

(フリーランス記者・山本奈朱香)

AERA 2025年2月10日号より抜粋

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