大阪府の女性(52)は離婚が成立し、慣れ親しんだ名字に戻れたときは「ばんざーい、と叫んでお祝い会をした」という(撮影/写真映像部・松永卓也)
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 結婚や出産といった世間一般に言われる女性の幸せが自分にとってもそうなのか。バツイチになったからこそ気づいた価値観、自分の本当の幸せとは。AERA 2025年2月10日号より。

【図を見る】結婚しない人も離婚に踏み切る人も増えている

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 バツイチになったからこそ、旧来型の「結婚=幸せ」「30歳前後で出産」といった枠組みから脱出でき、精神的な自由を手に入れた女性は多い。

 東京都に住む会社員女性(47)は29歳で結婚した。

 進学、就職、そして結婚──。そういう人生を歩むものだと思いながら大人になった。だから、長年付き合っていた恋人からプロポーズされたときは嬉しかった。

 しかし、「結婚したら現実が押し寄せてきた」。同居を始めると夫には借金があることがわかり、価値観の違いも感じた。ただ、女性は突っ込んで話し合うことが苦手で「一方的に怒りをためてしまった」という。

 帰宅時、自宅に明かりがついていると気持ちが重くなるようになった。結婚3年目に「別れたい」と切り出し、離婚に踏み切ったという。

 一人で住むための部屋を探して引っ越したとき、ほっとしたのを覚えている。「一人の空間に安心できたし、仕事にも集中できるようになった」

 離婚した当初は「私の何が悪かったのだろう」と考えることもあり、人生そのものがつらく、苦しかった。けれど、自分自身と向き合うことで、抱えていた「つらい」という気持ちが最近消えてきた。

「大学、就職、結婚というレールの上を歩いてみたけど、私が望んだレールじゃなかった。今は鼻歌を歌っちゃうぐらい幸せだと感じるようになりました」と笑顔で話す。

夫より稼がないように

 別の会社員の女性(49)は「夫を立てる」という自分の中にあった固定観念に縛られた生活から解放されたという。

 30歳のときに離婚した。働いていた会社は外資系で外国人の同僚も多く、離婚を伝えると「Congrats!(おめでとう!)」と声をかけられたという。

「実家の母は親戚には2年後に伝えていましたが、勤務先では、離婚したからといって腫れ物に触るというような環境ではなかった」と振り返る。

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私に結婚は向いてない