AERA 2025年2月10日号より

 24年は地政学的リスクの増大を踏まえてIHI、三菱重工業、日本製鋼所なども買われた。政府の25年度防衛関係予算は前年度比9.4%増の8兆7005億円、11年連続で過去最大を更新している。

「24年ならではといえば、『ハローキティ』50周年でサンリオも買われました。株価1960円が1年で5540円。海外投資家も日本のコンテンツ・キャラクタービジネスに着目しており、タカラトミーやコナミグループも好感されています」

 防衛関連、コンテンツ・キャラクター関連も24年だけの上昇ではなさそうで触手が。

 24年のプライム市場の値下がりワースト20(ランキングの詳細条件は表の脚注参照)も出してもらった。医療型ホスピスのアンビスHD(ホールディングス)が株価3005円から728円で▲75.8%のワースト1位。続いてパーキンソン病専門施設のサンウェルズが▲71.6%。似た業種のような。

IR消極的で売られる

「アンビスは25年9月期の連結業績予想で売上高こそ前期比26%増ですが営業利益が19%という2ケタ減益が嫌気されました。サンウェルズは11月発表予定の決算を3カ月延期。全体的に業績不調かつIR(投資家向け情報提供)に消極的な銘柄が売られています」

 24年といえば前半に半導体関連が爆上げしていたが、今はおとなしい。ワースト6位にレーザーテックがいる。

「米国による対中国の半導体規制報道により半導体がまとめて大幅安に。レーザーテックは25年6月期から四半期ごとの受注高・受注残高の開示を廃止したことが不評で売られました」

 レーザーテックの決算資料にその理由が明記されている。要約すると「短期変動が大きい四半期ごとの開示は企業評価における有用性が低い」「株主や投資家から受注高を非開示にして短期的な株価変動を抑えるようにリクエストを受けた」。このご時世にこれは……やはりIRを閉じる銘柄は嫌われる。

「半導体はいったん売られましたが、そこから二極化しています。アドバンテストやディスコなどAI関連の比重が高い銘柄は戻し、ロームやルネサスエレクトロニクスなど産業機械向けメインの銘柄は冴えません」

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