団塊ジュニアと重なる氷河期世代。2040年には多くの人が一気に定年を迎える「大定年時代」が迫っている。会社で働いている今から、定年退職後のキャリアをどうするか、「セカンド就活(セカ就)」を真剣に考えだす必要がある。AERA 2025年2月10日号より。
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では具体的に、どんなスキルを磨けばいいのだろう。
まずは、自身の職歴を生かせることが望ましい。だが、将来、AIに取って代わられるような職種なのか、この先の成長が見通しにくい産業なのか、といったところは十分に見極める必要がありそうだ。とはいえ、やみくもに資格を取ろうとするのも決して効率的ではない。
そこで、雇用やキャリア形成に詳しいジャパン・リスキリング・イニシアチブの代表理事を務める後藤宗明さんがおすすめするのは、今後さらなる成長が見込める「グローバル」「デジタル」「グリーン」「宇宙」の四つの分野だ。
「成長性が高く、その分、賃金や年収が上がりやすい」と説明する。
一つずつ見ていこう。
グローバル分野では、まずは訪日外国人の増加が着目点だ。海外の人たちは、サービスや商品の質の高さを求めて日本を訪れる。これを生かさない手はないと言う。
語学の習得にあたり、特に中高年におすすめなのが短期の語学留学。英語の習得だけでなく、「まったく違う価値観に触れ、自分の価値観を壊し客観視する」ことが重要だと後藤さんは話す。
中高年にとって、デジタル分野のスキルの会得はハードルが高い。リモートでも、会社の中では、特に役職が高い人たちはスタッフが事前に準備することもある。しかし、これを習得することで世界が広がるはずだと訴える。
「デジタルは無理」という言葉は禁句。苦手意識を持たず、生成AIなどの新しいデジタルツールを積極的に活用する姿勢こそが重要だ。
グリーン人材に需要
トランプ米大統領がパリ協定から離脱を宣言するなど、雲行きがあやしいグリーン分野だが、それでも世界的な脱炭素の流れは変わらない。
欧州を中心に各国で脱炭素の目標を掲げ、企業も対応を義務付けられている。このため、温室効果ガスの排出量の分析や、排出量取引などの専門知識を備えた人材は世界中で不足しているという。
宇宙分野もいまや他人事ではない。大阪や福岡の町工場では人工衛星を飛ばすなど、国内外の民間企業が宇宙事業に参入している。宇宙向けの商品のほか、保険などのサービスや法的な紛争も予想される。
未開拓な分野だけに、競争が激しくない今のうちから専門的なノウハウを習得しておくと有利に働く側面がありそうだ。