写真はイメージ(Gettyimages)

 GLP-1受容体作動薬は、私たちの体内でこのGLP-1と同じ働きをします。空腹時の血糖値が高くないときは、GLP-1は分泌されず、インスリンも分泌されません。食事をとることにより血糖値が高くなったときにだけ働くため、低血糖を起こしにくいということも、GLP-1受容体作動薬の特徴の一つです。

 そのため、GLP-1受容体作動薬は糖尿病に対する治療薬として誕生しました。実は、体重が減少する効果は、糖尿病治療における副作用だったのです。しかし、「体重を減らすことができる!」「この薬で痩せることができる!」と話題になり、成人の41.9 %[※2]  が肥満であるアメリカでは肥満の治療のための服用が爆発的に広がりました。2023年にはアメリカの肥満率が10年以上ぶりに低下を記録し、この薬がその要因の一つであると考えられているほどです。

全世界で爆発的流行

 実際に、2024年5月に公開されたグローバルデータ[※3] のレポートによると、GLP-1受容体作動薬の市場は前例のない速度で成長しており、2033年までに1250億ドル以上の価値に達するだろうと推測されています。ノボノルディスク社によると、毎週少なくとも2万5000人[※4] の米国人がノボ社のウェゴビーによる肥満治療を開始しており、その数は今後ますます増加することが予想されています。GLP-1受容体作動薬は、全世界で爆発的に流行している薬の一つであることは間違いないでしょう。

  さて、私は皮下注射タイプのGLP-1受容体作動薬から始め、流通量が減り皮下注射タイプのものが手に入らなくなってからは、経口タイプのGLP-1受容体作動薬に切り替え、内服を続けました。1年半という期間で8キロほど体重が減少したところで、体重は減らなくなり、そのまま体重は変化しなくなりました。

 一般的なGLP-1受容体作動薬の副作用は、胸やけ、下痢、便秘、頭痛です。服用し始めた頃は、軽い吐き気を感じるだけで、すぐに食欲は落ち、食事量も減りました。皮下注射は週に1回するだけなので服薬管理は楽でしたが、想像以上に皮下注射をすることは痛く、その時だけは辛かったです。皮下注射を自分ですることの痛みや恐怖感を実際に体感できたことは、私にとって良い経験となったと思います。

次のページ
服用から半年、吐き気