日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は「GLP-1受容体作動薬」について、鉄医会ナビタスクリニック内科医・NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。
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私は、物心ついた頃からぽっちゃり体型です。そんな体型に悩み、思春期の頃は極端なダイエットをきっかけに、摂食障害にまでなってしまいました。
摂食障害を克服してからも、残念ながら体型を気にしない日はありません。アメリカにやってきてからは、日本ほど気にしなくていい雰囲気に救われましたが、油断をすると鎖骨のラインが消え、顔がぽっちゃりしてきてしまいます。そんな自分がどうしても受け入れることができず、毎日のジム通いだけは欠かさず行っています。
実は、私はアメリカに来る直前の3年間ほど、体重管理のためにGLP-1(ジーエルピーワン)受容体作動薬を内服していました。手持ちの薬がなくなったことをきっかけに服薬をやめてから、2年以上が経過しているので、今はもう内服していません。今では多くの方が一度は聞いたことがあるであろうGLP-1受容体作動薬ですが、私が服用を決めた頃は、すでに流通はしていたものの、減量目的にはまだまだ使用が少なかったと思います。
たまたま、糖尿病薬として知られているGLP-1受容体作動薬が「痩せ」にも効果があるという医療記事をネット上で拝見。信頼できる美容整形や内科の先生にGLP-1受容体作動薬について詳しく話を聞き、自分なりにGLP-1受容体作動薬についての情報をたくさん集め、メリットやデメリットを考慮した結果、自費で服用することにしたのでした。
この薬で痩せると話題に
GLP-1[※1] とは、もともと私たちの体にあるホルモンの一種です。血糖値を下げる働きがあり、消化管の中に食べ物が入ってくると、小腸からGLP-1が分泌されます。その一部は、血液の中を流れてすい臓に運ばれます。すい臓にたどりついたGLP-1は、すい臓に「インスリンを出しなさい」と呼びかけるのです。このGLP-1からの呼びかけに応じてすい臓からインスリンが分泌される結果、血糖値が下がるという仕組みです。