――そんな後輩思いの関根さんの影響を受けてきた飯尾さんは、後輩芸人にどんなアドバイスをしていますか
自分は、ネタの構成がどうか、ということよりも、「今のうちに思いっきりやった方がいい」「パクらなきゃいい」と伝えています。“お笑いを続けられる時間”というのは、限られているじゃないですか。大きく言えば、「命の時間」もありますし、親の仕事の後継ぎをしなくてはいけないとか、芸人を続ける期限の約束がここまでだとか、自分に家族ができたから養うために辞めますとか。やっぱり人それぞれの人生がありますよね。だから、「パクらなきゃいいから、できるうちに思いっきりやった方がいい」としか言えないんですよ。
あとは「アドバイスされても納得がいかないなら、自分が正しいと思うことをやった方がいい」ということも伝えています。これは、以前、大川興業の大川(豊)さんに言われたことなんですけど、お笑いっていろいろなアドバイスをいただきやすい分、たくさん聞いちゃうとだんだん自分のフォームが崩れて何が何だか分からなくなってしまうんです。だから、「この人に言われたことは取り入れる」というのを決めておくのは大事だと。
まさに「関根ドクター」です
――関根さんは愛妻家でも知られています。その影響はありますか
20代の頃、(キャイ〜ンの)ウド(鈴木)と自分は結婚願望が強かったのですが、そのとき関根さんに言われたことがあるんです。「結婚っていいものだけど、『ただいま』と帰ってから、“風呂、飯、自分の好きなこと”というわけにはかないよ」と。帰ったら子どもに、「今日は何をやったのか」を聞く。奥さんにはマッサージをする。みんなが寝てからようやく自分が撮りためていた録画番組を1、2時間ほど見られるって。その言葉は、自分にとって「(結婚の)ワクチン」でしたね。聞いておいたことで“免疫”が付いたので。まさに「関根ドクター」です。あと、その方面のドクターといえば、鶴瓶師匠ですね。