メアリー・エレン・コー/2012年Google入社。22年からYouTubeCBO。インスピレーションを得るために週末は自然のなかで過ごす時間も大切にしている(撮影/写真映像部・佐藤創紀)
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 時代の変化に対応しながら発展してきたユーチューブ。最高ビジネス責任者(CBO)であるメアリー・エレン・コー氏が見据える未来とは。AERA 2025年2月3日号より。

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 HIKAKIN、こっちのけんと、星街すいせい、漫画「あたしンち」の母──。誰もが知る著名人らが昨年12月、幕張メッセに集結した。それぞれ異なるジャンルで活躍中だが、共通点はユーチューブで抜群の人気があることだ。

「YouTube Fanfest Japan」と銘打たれたイベントは、日本初開催の2014年以降クリエイターとファンが交流する場として成長してきた。六本木の劇場施設からはじまり、今や幕張メッセで開かれるまでに。11回目となる今回も、抽選で招待された約5千人のファンと41組の出演者らが熱狂に包まれた。

 日本のユーチューブ市場に熱視線を送るのは、ファンだけではない。この日会場に姿をみせたのは、ユーチューブCBO(最高ビジネス責任者)のメアリー・エレン・コー氏だ。ミシガン大学を卒業後にマッキンゼー・アンド・カンパニーに就職。その後グーグルを経て、22年10月にはユーチューブCBOに就任した経歴を持つ。

視聴習慣の変化に対応

 さまざまなデータを分析してきたコー氏が今のユーチューブで特に注目するのは、インターネットとテレビを接続する「コネクテッドTV」の成長だ。

「REVISIOの調査では、コネクテッドTVで見られているすべての放送・動画サービスのなかでユーチューブは視聴時間第1位と驚異的な成長を遂げています。日本ではコロナ禍の20年以降の動きが著しく、視聴者は1日のなかで2時間半もコンテンツを楽しんでいるというデータもあるんです」

 視聴習慣がデスクトップからスマホなどのモバイルデバイスに移行し、やがてテレビモニターへとたどり着く。トレンドの変遷を受け、クリエイターにも変化が起きた。リビング視聴に適した内容や編集を意識し始め、高画質の4K動画での投稿が前年比で35%増加したという。

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