世の中には、『子どもがいても仕事を辞めたくない』という人がいるけど、わがままですよ。だって、仕事での代わりなんていくらでもいるし、親はあなただけだよって思っちゃう。もちろん、お父さんが専業主夫でもいいですよ」

 うまくいっているように見えても、当然だが、すべてが順当なわけではないということだ。

嫌なことを忘れるのが上手

 実憂さんは、少し間をあけてから、こう言った。

「人生で、そんなに悩むようなこともなかったと言えば、それは嘘なんですよね。私、嫌なことを忘れるのが、めちゃくちゃ得意だから。あまりに上手すぎて、嫌いな食べ物を忘れて食べちゃうくらいだから。私、チャーハンが嫌いなんですよ」

 インタビューを終えると、「イトーヨーカドーに夫の靴下を買いに行く」と言って、駅の向こうへ消えて行った。

 その背中に、幸せの選択に対する迷いのなさを感じた。

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