「コンビニ百里の道をゆく」は、ローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
【写真】地産野菜も充実している「ローソン龍神村西店」はこちら
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とくに地方や山間部などの過疎地域において、高齢者を中心に食料品の購入に不便を感じる消費者が増えている「食料品アクセス問題」を読者の皆さんはご存じでしょうか。少子高齢化や人口減少で、スーパーなど小売業の撤退が進んでいることも原因です。
そんな課題を抱える地域の一つである和歌山県田辺市の龍神村地区に昨年10月、「ローソン龍神村西店」がオープンしました。一昨年夏に地域唯一のスーパーが閉店し、最寄りの小売店までは車で30分以上かかる状況だった地区です。同地区への大手コンビニの出店は今回が初で、「過疎地にポツンとローソン」とネットでも話題になりました。
なぜ、過疎地への出店が可能だったのか。そもそもコンビニにはスーパーに比べると小さな商圏、少人数で営業が維持でき、かつ全国に物流網があるという特性があります。
さらに大きいのはコロナ禍の巣ごもり需要にあわせて、冷凍食品やお惣菜、生鮮野菜などの品ぞろえを充実させ、日雑品と言われる下着類や化粧品なども充実してきたこと。「日常生活はローソンがあれば大丈夫だな」とお客様に思っていただけるようになったことがあると思います。
私たちは全国にあるすべての店舗が「地域共生コンビニ」だと考えています。何か困っている町があって、そこに出店することで少しでも地域の皆さんが安心して笑顔になっていただけるとしたら、それはもう「みんなと暮らすマチを幸せにする」という私たちの企業理念そのものです。
ゆくゆくは、高齢でなかなかお店まで行けない方の多い地域であればあるほど、ドローンや自動配送ロボを使って商品をお届けするデジタルロボティクスが活躍できる未来も描くことができそうです。
どんな小さな町でも、お客様により頼りにされるサービスづくりを今後も展開していけたらと考えています。
※AERA 2025年2月3日号