日本の政策金利は約17年ぶりの水準へ――。
1月24日、日本銀行は金融政策決定会合で、昨年7月以来となる追加利上げを決定した。政策金利は、それまでの0.25%から0.5%程度へと引き上げられた。
市場予想どおりの利上げとあって、利上げ発表直後の金融市場に大きな波乱はなかった。
兜町関係者が話す。
「前回の昨年7月の利上げ後の会見では、記者が『過去30年、日本の政策金利は0.5%を超えたことがない』と発言したことに対して、植田和男総裁が『0.5%は壁として意識していない』と口を滑らせたことがさらなる利上げを想起させるサプライズとなり、米国経済の先行き不安も重なって、“植田ショック”などと呼ばれる株安・円高が進みました。その反省を生かして、今回はショックを与えないよう、慎重に言葉を選んでいた印象です。市場のコンセンサスどおり、今後1年かけて政策金利は1%に引き上げられるでしょう」
さらなる利上げは株価にマイナスの影響をおよぼす可能性はあるが、すでに織り込み済みというのが市場関係者らの見方だ。
政策金利は1%に
山和証券の志田憲太郎情報部部長が解説する。
「各国の中央銀行を見てもわかるように、利上げや利下げは連続して行うのが一般的ですが、今回の会見では積極的に利上げを行う姿勢は見られませんでした。仮に次回3月会合でも利上げが実施される可能性が示唆されていたら、大幅な株安・円高が進むリスクがありましたが、『今回の利上げの影響も見ながら考える』という姿勢だったので、春闘で賃上げが着実に進み、それが物価にもたらす影響を見極めたうえで7月に次の利上げを行う、というのが最もありえるシナリオでしょう。そのうえで12月、ないしは来年1月会合でさらに0.25%引き上げて、政策金利を1%にする。日本経済を刺激も抑制もしない中立金利は1~1.25%と考えられているので、そこまでは市場も織り込みつつあります」