実際、日本の10年債利回りは昨年7月以降、上昇を続けており、直近で1.2%を超えている。年内、政策金利1%乗せは、もはや想定内にも見える。それだけに、着実に金利が上昇しても、株式市場への影響は軽微で済む可能性が高いという。

「植田総裁も言及していたように、トランプ大統領の政策には不確実性があるものの、米国経済は堅調で日本の基調も上向きです。現状、日本の上場企業の2026年3月期の予想EPS(一株益)は2650円程度と予想されているので、直近のPER(株価収益率)16倍をかけて、4万2000円超えを試すというのが、大方の予想。EPSが上振れるようなら、高値更新もありえる。トランプ政権が大幅な関税引き上げに舵を切るなどの波乱要因がなければ……という条件つきですが」(前出の兜町関係者)

 だが、金利上昇局面では、相場の“主役”は変わる可能性がある点には注意が必要だ。

繊維株が高いパフォーマンス 

 前出の志田氏が話す。

「政策金利が0.75%になると、約30年ぶりの高い水準になります。過去30年、政策金利が0.5%を超えて上昇したことがないので、日本株のなかで何が買われるのか探すのは正直、難しい。ただ、米国の例に当てはめると、米10年債利回りが現状の4.5%程度の高水準で推移すると、グロース株(成長性の高い銘柄)は買われにくくなる傾向にあります。いつ利益を生み出すかわからないグロース株を持つよりも、10年国債を3年持って高いリターンを得るほうが確実だからです。これに照らせば、日本では金利上昇に伴い、バリュー株(企業価値よりも株価が割安な銘柄)や高配当銘柄が買われやすくなると予想しています」

 金利上昇の恩恵を受けやすい銀行株はすでに高値圏で推移しているが、直近3か月の業種別騰落率を見ると、繊維株が高いパフォーマンス上げている。

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積極的な自社株買い