天皇陛下は祝福を込めたハレのお歌
歌会始の最後に披講されたのは、天皇陛下の御製。地方の訪問先で触れ合った子供たちが、将来の夢を生き生きと話す姿に嬉しさを感じ、和歌に詠み込まれた。
旅先に出会ひし子らは語りたる目見(まみ)輝かせ未来の夢を
永田さんによると、「目見(まみ)」は、視線を含めて目とその動作を表す言葉だという。
「陛下は旅先で触れ合う人びとや光景を詠まれることが多い。こうしたものは『天皇』として国や人びとへの祝福を込めたハレのお歌です」
永田さんは、陛下から和歌についてご相談を受けた際に、「旅先」ではなく、「被災地」や具体的な地名に変えては、とご提案をした。
ところが陛下は、
「被災地では時間がなく、子どもたちと触れ合う機会がなかった」
そう、正面から真面目にお答えになったという。
「このくらいはいいか、という妥協がなく、何ごとにも誠実であられる」
と、永田さんは穏やかな表情で振り返った。
(AERA dot.編集部・永井貴子)