天皇、皇后両陛下、皇族方が出席して行われた「歌会始の儀」=2025年1月22日、皇居

天皇陛下は祝福を込めたハレのお歌

 歌会始の最後に披講されたのは、天皇陛下の御製。地方の訪問先で触れ合った子供たちが、将来の夢を生き生きと話す姿に嬉しさを感じ、和歌に詠み込まれた。

旅先に出会ひし子らは語りたる目見(まみ)輝かせ未来の夢を
 

 永田さんによると、「目見(まみ)」は、視線を含めて目とその動作を表す言葉だという。

「陛下は旅先で触れ合う人びとや光景を詠まれることが多い。こうしたものは『天皇』として国や人びとへの祝福を込めたハレのお歌です」

 永田さんは、陛下から和歌についてご相談を受けた際に、「旅先」ではなく、「被災地」や具体的な地名に変えては、とご提案をした。

 ところが陛下は、

「被災地では時間がなく、子どもたちと触れ合う機会がなかった」

 そう、正面から真面目にお答えになったという。

「このくらいはいいか、という妥協がなく、何ごとにも誠実であられる」

 と、永田さんは穏やかな表情で振り返った。

(AERA dot.編集部・永井貴子)

▼▼▼AERA最新号はこちら▼▼▼