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 働く以上避けられない、メールのやり取り。返信忘れ、長文の内容把握に苦労したことがある人に、自身もADHD(注意欠如多動症)特性のある「不器用」当事者で、認知行動療法を専門とする臨床心理士として、多くのメディアに出演してきた中島美鈴さんがとっておきの工夫を伝授する。メールに悩まされる日々から抜け出す方法を、著書『仕事も人生も、これでうまく回る! 不器用解決事典』(朝日新聞出版)から一部抜粋・再編集して紹介する。

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ヒロミさん(50 代、通信会社管理職)のぼやき

 なぜ、毎日メールを読んだり返信したりしなければいけないの? ハッキリ言って苦痛!

 毎日100件を超えるメールの処理をしなければならなくて、苦痛です。私がマネジメントを担当している社員は50人。なので、日中に外勤が入ったりしてしばらくメールを確認できなかった日は、夕方にメールアプリを開くと大量の未開封メールが溜まっていて、圧倒されてしまいます。

 最近ではあまりに忙しいので、開封したはずなのに、そこに書かれていた仕事の締め切りをメモし損ねて失念することがありました。他にも、返信したつもりになっていただけで、いつのまにかゴミ箱に移動させていたなんてことも……。

 無意識に行っている行動を客観視

 カウンセリングでは、すでに習慣化した行動パターンを見直していくことがあります。自分の行動パターンに気づくのはとても難しいので、最初のプロセスでは、毎日繰り返し、無意識に行っている行動について、一旦紙に書き出したり、回数や時間を測ったりして、客観視することから始めます。

 たとえば、ついつい足を組んでしまう癖をやめたい場合、意識的に1日何回足を組むのか、どんな場面で組む傾向があるのかを記録することで、なんらかのパターンを見出そうとするのです。これが行動修正の第一歩です。

 同じように、ヒロミさんのメール処理についても、最近はミスが生じていますから、一旦客観視して、どんなパターンがありそうか、どの工程でミスをしていそうかの分析が必要です。その上で、ミスの生じにくいメール処理のルールを設定するといいでしょう。

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あえてメールチェックしない?