宝探し的な仕掛け満載
ビートルズが好き、という鈴木さんだが、音楽も自身の作品に影響しているという。
「ビートルズがどれだけ難解な歌詞を書いても、実験的な音色を使っても、メロディーとリズムがいいから聴ける。それは文学にも転用できると思っていて。僕の今回の作品は難しいと言う人もおられるかもしれないですが、リズムに乗れれば楽しんで読んでいただけるんじゃないかと思います」(鈴木さん)
第1章は赤、第2章はオレンジと、章ごとにテーマとなる色があり、第3章は黄色だ。
「だからここにYMOが出てくるんです」(鈴木さん)
それでは『ゲーテはすべてを言った』(朝日新聞出版)の85ページに登場するYMOの曲は何を想定していたのかと訊ねると、「『以心電信』です」(鈴木さん)。
こうした宝探し的な仕掛けが作品の随所に仕込まれており、それを知ったらもう一回読み直さずにはいられない。
(編集部・小柳暁子)
※AERA 2025年1月27日号