日本代表の元主将であり千葉ジェッツでプレーする富樫勇樹に、日本バスケットボール協会(JBA)やBリーグへの思いを聞いた。AERA2024年1月20日号より。
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八村塁は昨年11月、JBAの強化方針に対して「プレーヤーファーストではないと感じる」と批判、トム・ホーバスヘッドコーチの続投にも苦言を呈するなど、物議をかもした。その後、NBAで6季プレーし、今季千葉ジェッツに加入した渡邊雄太が、双方に寄り添うようにして会見でフォローを見せたが、今なお騒動はくすぶり続けている。
「雄太も含め、実際にJBAに対して思うところはあると思う。僕も塁と一緒にいた中で、わかる部分もあります。ただ、日本のバスケを強くしたいという気持ちはJBAも同じだと思うし、世界を相手に勝利を目指して選手に可能な限り良い環境を与えるという努力はしてくれている。皆が同じ方向を向くには、選手と協会がより緊密に、いいコミュニケーションをとりながらやっていく以外にないと思う」
JBAは八村の発言を受け、昨年11月末にホームページで声明を発表。「今一度、組織内外におけるコミュニケーション、情報発信、連携の在り方について見直しと改善を進めてまいります」とコメントした。海を越えてのすれ違いは解消されるのか。主将を務めた責任感もあってか、富樫はこう続けた。
「塁は海の向こうのNBAで頑張っていて、日本からずっと離れているわけだし、コミュニケーションは密にやりたい。実質的に塁としっかり連絡が取れるのは僕と雄太くらいなので」
目の前の試合を全力で
渡邊とは今、チームメートとしてまさに同じ方向を向いている。バスケをメジャースポーツに。その思いを共有している。
「コート上でもコート外でも、特に若手に対してはその影響力は大きいと感じています。チームのために労をいとわない献身性は頼もしいし、長くNBAでプレーしてきて得た経験をBリーグに還元してほしい。一つ一つのプレーごとにアリーナを盛り上げる姿勢も個人的にはすごく好きだし、もっと盛り上げていってほしいですね」
ただ、主役の座は揺らがないだろう。昨年12月7日の三遠ネオフェニックス戦で、富樫は前人未到のB1通算3ポイントシュート成功数1100回を達成し、存在感を誇示。1月6日現在、千葉は東地区3位につける。
「何年か先の遠い目標より、目の前の目標をクリアしていくのが僕のスタイル。目の前の一試合一試合を全力で戦うだけです。毎年優勝を狙うチームの中で、しっかりとローテーションの選手として活躍を続ける。それができているかぎりは代表としてもやれると思っています」